6月17日(土)午前《口頭発表予稿集》

11:20〜12:00                於:大会議室

自閉症スペクトラム概念の拡張に関する批判的一考察

 

                                                  前進友の会会員・大阪府立大学客員研究員

                                                                           山崎  真也

 

  2011年、韓国のKimらは、ASSQを使用した1) 大規模調査で、人口の38人に1人(有病率:2.64%)が自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されるという驚くべき研究結果を公表した。ASD有病率の上昇は各所で報告されている。本発表は、こうした疫学調査や臨床現場の実践、通俗的な「発達障害」流行の背景に、Wing以来のASD概念の拡張が存在すると仮定し、概念史的・倫理的観点からこの現象の批判的検討を試みる。

   発表では、まず反面教師として、昔日の統合失調症概念にみられた拡張現象の機制とその倫理的帰結に言及する。特にBleulerの潜在性統合失調症概念と、米国で見られた「思考障害」の有無への着目が、統合失調症概念の実質的拡張を招来した旨を確認する。

   次に、近年のASD概念の形成や運用に同型の現象が再現されている点を指摘する。その際、ASD概念は「政治が99%、科学は1%」の賜物であるというHackingの主張を考慮しつつ、Wing以降顕著なASDの拡張現象に孕まれる倫理的帰結を考察したいと考えている。

 

1) Kimらは、第一段階のスクリーニングとしてASSQ(the Autism Spectrum Screening Questionnaire)を、第二段階の謂わば「確定診断」にADOS(the Autism Diagnostic Observation Schedule)及びADI-R(the Autistic Diagnostic Interview-Revised)(それからKimら自前の認知テスト)を使用しているが、こうした疫学調査向けの質問器具instrumentsの諸項目自体、その基底をなす根本思想に──信頼性および妥当性にどれだけ注意が払われておろうと──拡張されたASD概念が反映されている点に注意を喚起したい。

     

 

🍀口頭研究発表を引き続き公募します。締め切りは、平成29年5月15日に延長しました。どうぞ奮ってご応募ください。

 

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